2011-01-25

こんぴらうどん 宮津 かちん 



 かちん。餅が乗ったうどんです。
 かちんというのは近畿独特の呼び方なんでしょうねえ、神奈川県出身の妻お龍は知りませんでした。Wikipediaを見ますと、「かちん」とは、「餅」を指す女房言葉だと書いてあります。女房といっても妻お龍のことじゃありません。女房言葉については、こちらをごらんください→http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A5%B3%E6%88%BF%E8%A8%80%E8%91%89

 宮津市のこんぴらうどん。
 冬になったらかちんを食べたくなります。
 「焼きますか?揚げますか?」とメニューに書いてあります。焼餅、揚餅、どちらもOKです。
 私は焼いてもらいます。餅のおこげの香ばしさが汁に移り、汁のおいしさが餅に移る。
 旨さの両替商みたいなとこが大好きです。


 ここの大将、オーディオ好きなんですねえ。客席からあまり見えないところに置いてあるスピーカーはJBL。アンプはどこにあることやらまったく見えません。実は真空管アンプがどこかで音を出しています。
 大将は女性ボーカルのCDをよくかけています。やさしくまろやかに、女性ボーカルが店のなかを流れていきます。これまでつまらないと思っていたシンガーが魅力的に聞こえてしまうほどです。


 こんぴらうどんの名称からどうしても讃岐うどんを連想しますが、大将のうどんは讃岐うどんに非ずだと思います。

 大将は讃岐地方で修業しました。以前、大将からオススメの店を教わって讃岐までうどんを食べに行ったことがあります。私もお龍も、讃岐に行けばこんぴらうどんくらいのおいしさは普通なのだろうと勝手に決め込んでいました。
 大将が教えてくれたのは金毘羅さんの近くにある「うどん」という店でした。同じ店でうどんを学んだ仲間のおばちゃん二人がやっている店だ、オーソドックスな讃岐うどんのスタイルを保っている店だということでした。
 その店でぶっかけや生醤油を食べ、その他にも丸亀市で何軒かを回りました。


 で、宮津に戻ってきました。私とお龍は、二人ともが讃岐で得た感想を伝えました。
 大将、結局ここのうどんがいちばんおいしいわ。讃岐まで行くことなかった。
 「その言葉を聞きたかった」と大将はもちろん喜んだのですが、そのときに大将の語った言葉がいまだに頭に残っています。
 
 ひとつめは、讃岐まで行って、よそにはないうどん文化に囲まれながら食べれば、それだけでもおいしい気がすること。その土産話が本当のおいしさを伝えているとはかぎらないこと。
 そして、ぱっと寄ってぱっと食ってぱっと出て行くうどん、おいしく食べたいと思って食べるうどん、ニーズが異なればうどんも異なるということ。
 さらには、値段の安さも含めて、讃岐うどんのスタイルはうどん好き人口の多さに支えられていること。

  そうか、商売になるうどんが讃岐と宮津では異なるのかと、私は解釈しました。
  メニューに載せたうどんの種類ごとにきちんと味わいの違いを出す。そのために手間をかける。そのかわり平均単価は讃岐うどんよりも高くなるけど、逆に薄利多売を狙ったらここのお客さんにはもっと好まれない。大将からそう聞いたような憶えがあります。そういわれてみれば、讃岐うどんのメニューはどれを食べてもけっこう似通った味だなと、そのときに気づきました。

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