2011-06-12

番外編:刀舟 有次 三徳包丁切り比べ

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ショップチャンネルの通販で買った刀舟(180mm)


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京都錦市場の店で買った有次(180mm)


 ショップチャンネル大好き人間でして・・・
 民報やNHKに飽きてしまいますとCSの55チャンネル。斉藤麻未さんと近藤英恵さんが商品紹介してましたら大喜びです。玉徹也さんが出てたら、男なんか見たくない。すぐチャンネルを変えます。

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  近藤英恵さん       斉藤麻未さん     玉徹也さん





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 それで、この日は、廣田株式会社の代表取締役廣田将也さんが包丁の実演販売をやっていました。オリジナルの調理器具中心にずっと実演販売を続けてきた社長さんですが、この人板前さんか?と思うくらいに包丁さばきもおみごと。テレビに見入りました。しかも、しかもですよ~、刀舟の三徳包丁18cm21000円が、廣田さんにしかできない30%引きの14700円だというではありませんか。
 これは、廣田さんにしかできないお値段、ショップチャンネルだけに用意してくださったお値段です。他では刀舟の値引き販売はありませんから。
 ブドウの粒をいくらでも薄切りにできる映像を見たら、この包丁がもう欲しくてたまらなくなりました。我が人生においていつどこでブドウの粒を薄切りにする必要性が生じるのだろうかなんてこと、再考する気持ちもありませんでした。
 みなさま、お電話が集中しております。どうかタッチでショップもご利用ください。
 こりゃ、いかん、後れをとってはいかん。
 注文に踏み切りました。

 包丁の到着がうまい具合に土曜日。さっそく妻お龍と試し切りを始めました。
 有次と比べてみよか?どっちが切れるかな?


 有次といえば、これはみなさんよくご承知、京都錦市場、老舗中の老舗。永禄3年(1560年)から続く刃物屋さんです。有次で買った包丁の箱の中には、白黒の碁石を包んだ栞が入っています。
 一生ものの包丁を買っていただいたけれど、お客様とのご縁も一生ものであることを祈願して、切ることのできない碁石を添えさせていただいた。
 栞にはそのようなことが書いてあります。こればかりは廣田社長にもショップチャンネルにも期待できない心遣いですね。それだけの心遣いにもかかわらず、有次は刀舟よりも安かった。たしか1万円くらいでした。値引きはなしですよ。それでもなおかつ30%引きの刀舟よりも安かった。


 さあ、こうなってきますと、欲しくてたまらないから買ったはずの刀舟への思い入れはどこへやら。俺の衝動買いは大間違いではなかったのかという興味関心(衝動買いの成否を自己評価するのはけっこう楽しい)に心を奪われます。


DSC05985  柄の部分。上が刀舟、下が有次。
 刀舟の柄の材質はステンレス。さらにはモナカハンドルといって内側は空洞になっています。このハンドルによって軽量化(164g)されているそうです。
 下は有次。柄は木製です。包丁の付け根(なかご=中子というそうですが)は柄を貫通しています。重さは170gです。


DSC05986  こちらは刃の部分。上が刀舟。鎚目(デコボコ)加工が施されています。切った食材の離れをよくするためだそうです。材質はステンレス刃物鋼(バナジューム鋼・モリブデン鋼配合)となっています。
 下の有次には鎚目加工がありません。自分で何回か下手な研ぎ方をしましたので古びて見えます。材質は鋼です。したがいまして使用後の手入れはステンレス配合の刀舟よりも手間がかかります。
 切っ先の刃付けを見ますと、刀舟のほうが上に向かって広いですね。これは切っ先を用いた細かい作業を容易にするための工夫だそうです。
 名入れ部分は見えませんが、有次には「忠」と彫りこまれています。買ったときに店でやってもらえます。名入れに追加料金はかかりません。刀舟のほうは通販ですので、あらためて刀舟技研宛に包丁を送って名入れを依頼します。名入れだけを頼めば600円ですが、研ぎ直し(1500円)を頼んだ場合名入れは無料になります。

 さて、お龍とニンジンの千切りをやってみました。細く上手に切れているのがお龍、千切りにはちとほど遠いのが私。うどんとそうめんくらいの違いがあります。


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 結論からいいまして、私は有次の切れ味が好きです。切れる切れないの比較でいいますと、両方ともよく切れます。
 有次の切れ味はストン、ストン。
 刀舟の切れ味はスー、スー。
 動的な有次。静的な刀舟。
 同じ切れるでもこういう違いがおもしろい。しばし千切りに没頭しました。


 「これは、たぶん重さのバランスの違いよ」とお龍。
 刀舟の柄は内部が空洞のモナカハンドル。有次の柄の中には包丁の付け根が貫通しています。いざまな板に向かったとき、有次は刃の重さが手に伝わりますが、刀舟は刃の重さを感じにくい。釣り竿にもそういうことがよくあります。
 「でも、両方ともほんとによく切れるわね。切るというよりも刃を置くだけね。いつも使ってる包丁だったら、私、こんなに細い千切りにできなかったと思うよ。おとうさんだって、その太さで上出来よ」
 その太さで上出来?まさか別のものの太さではありますまいな。


 さて、それでは、お龍はどちらの包丁が好きか?


 「そうねえ・・・刀舟はどれくらいの歴史があるの?」
 初代刀舟は昭和6年生まれ、二代目刀舟は昭和34年生まれ。昭和に誕生した刃物で、いまもってまだ二代。かたや有次は550年。


 「やっぱりねえ。どうしようもないものってあるよねえ。そこはしかたないと思うけど、私は刀舟がいいよ。だって、現によく切れるし、使った後が気楽だもん。有次は錆びないように気を遣うからねえ。刀舟はステンレス入ってるんでしょ?主婦の感覚からしたら、そうなるね。でも、ふたつともこれだけ切れてくれるんだし、あまり比べようとも思わないんだけどね」


 刀舟の説明には食器洗浄機も可と記載してあります。有次だってそれほど使用後の手間はかからないように思うのですが、やっぱり毎日のこととなりますと少しでも気楽なほうがいいんでしょうね。


 刀舟、包丁立てから抜くとき、包丁立てに戻すとき、スラリンという音がします。武士が刀を鞘から抜くときのあの音ですね。これにそそられます。39の行程、硬度62度、粘りのある仕上がりだそうです。いい包丁は日本刀と同じような行程になるのだと廣田社長がしゃべっていました。

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