2011-06-19

共栄学園 アイガモ農法のメリット

 アイガモ第2弾です。
 なつかしの一曲「Blowing in the wind」にのせて。なつかしの一曲ですが歌っているのはKatie Melua(26歳)。戦乱のグルジアで子供時代を過ごした女性歌手です。





 さてさて、アイガモのおかげで田んぼに雑草が生えない。除草剤がいらない。それはなぜか?
 バラの手入れをなさっていた先生に声をかけまして、アイガモ農法について教えていただきました。

 共栄学園の校門には「アンネの薔薇」があります。あの「アンネの日記」のアンネ・フランクリン。そのお父さんから贈られたバラだそうです。
 「今年はこの前の雹(ひょう)でバラがやられてしまいまして」と、その先生。先生と話しながら、もう一度高校生に戻りたい、この先生から勉強を習いたい。そう思いました。だから、私の高校生時代の一曲「風に吹かれて(Blowing in the wind)」を動画のBGMに選びました。
 
 先生から教わったことをまとめますと・・・
① アイガモが泳ぎ回れば泳ぎ回るほど水がよく濁る→底土へ届く光が遮蔽される→雑草の種の生育環境が妨げられる
② アイガモが水かきで底土を蹴る→そのたびに雑草の種が動く→雑草が底に根付けず発芽できない



 ということだそうです。雑草のなかでもとくに問題になるのはヒエだそうです。稲によく似た姿をしていることからもわかるように、生育環境が稲と共通する雑草です。稲よりも生育スピードが速いそうです。ヒエが穂をつけてしまったら、その穂からは新たな種子が田んぼにばら撒かれることになります。とてもやっかいな雑草です。


がんばれアイガモ!
もっともっと動きまわれ!
もっともっと餌を探せ!



 先生はおっしゃっていませんでしたが、自分で調べてみますと、雑草の種もアイガモたちの餌になるようですね。


 教育ファームねっとというサイトからダウンロードしたPDFファイルには、アイガモ農法のメリットがこんな風に図解されています。アイガモのウンチが田んぼの肥料になることは先生からもうかがいました。でも、この点はちょっとQuestionです。発酵させない糞は肥料効果が薄いんではないのかな・・・?

aigamo



 アイガモが放されている田んぼは水がいつも濁っていますから、餌になっているオタマジャクシや小魚の姿を確認することができません。本当にいるのかどうか?確かめたい。
 幸いにも、アイガモ農法田んぼのすぐそばに「対照田(たいしょうでん)」と呼ばれる田んぼがあります。こちらにはアイガモを放していません。アイガモの有無で何がどう違うかを一目瞭然にするための田んぼです。アイガモのいない田んぼの水は透明ですから小生物の姿を確認するには好都合です。対照田の透明な水をのぞきこみますと、オタマジャクシが泳いでいました。そしてホウネンエビが泳いでいました。どちらも動画に映っています。
 無農薬→自然の餌が豊富→アイガモが食欲に誘われて動き回る→雑草の生育が抑制される→農薬不要
 アイガモ農法の田んぼでこういう無農薬サイクルが回っていることを納得するためにも自らの目で餌の小生物を確認したかった。これで満足しました。


 とはいえ、アイガモには人工飼料も与えられます。生徒たちにはアイガモの餌当番という仕事があります。田んぼから供給される餌の他にまだ餌が必要なのか?
 そうなんです。必要なんです。田んぼの餌だけでは足りないということもありますし、さらなる理由は、給餌でアイガモを小屋に集めるためなんですねえ。
 餌当番の生徒がピッと笛を吹きます。アイガモたちは即座に全員集合します。
 この訓練をしておかないと、「水揚げ」のときに困ってしまいます。


 アイガモの水揚げ?


 つまり、成長してよく育ったアイガモを田んぼから引き揚げることです。引き揚げられたアイガモは、次は食肉として人間様のお役に立ちます。米づくりの後はただ殺されるだけのアイガモに心を馳せれば、引き揚げなんて言葉じゃ無味乾燥すぎる。花街言葉にも通じる「水揚げ」ならばどことなく言いやすい。


 そんな、かわいそうな。ずっと田んぼにいたらダメなの?


 ダメなんですねえ、これが。できたお米をアイガモが食べてしまいますから、それじゃなんにもなりません。


 じゃあ、三段池公園にでも放してあげたら?


 ダメなんですねえ、これが。養殖のアイガモを野性に放すことは禁じられていますから。
 共栄学園は精肉業者にアイガモを引き取ってもらうそうです。先生方がアイガモ持込で「鳥なご」で宴会なんてことはないそうです。

 共栄学園のアイガモ農法、米づくりそのものが目的ではないから15年間も続いてきた。それはいえると思います。
 京丹後市の丹後コシヒカリは2009年~2011年の3年連続で日本穀物検定食味ランキング特Aの評価ですが、丹後でアイガモのいる田んぼを見たことがないですからねえ。ほんとうの米づくり農家にアイガモ農法が広く受け入れられているとは言いがたい。
 家が農家という生徒もいるでしょうから、「うちはアイガモやらないの?」という会話もあることでしょう。「わりにあわん」のひとことで会話が終わっているかもしれません。

 共栄学園のアイガモは夏の風情ですね。実際、田んぼの持ち主は、市街地にも日本の原風景的なものを残しておきたいと望んでおられるそうです。市街地だけにトラブル防止にも気を配りつつということになるでしょうが、今後も続けていってもらえたら私は感謝します。

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