2011-08-21

リフレかやの里 10月1日から再開

 2008年7月以来、ずっと閉鎖したままのリフレかやの里=与謝野町金屋。赤字がかさんだ結果の閉鎖でした。


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 そのリフレかやの里が、今秋、10月1日から再開です。
 来客数増大の決定打もなさそうですが、今度はうまくいくのでしょうか。


【開業から破産まで】
 リフレかやの里(以下リフレ)の開業は1989年7月です。


 旧加悦町が9億円の予算をつぎ込んで完成させました。町の施設の運営を第3セクターに委託する形をとり、運営を株式会社丹後リフレッシュが受け持つことになりました。


 開業当初こそ年間13万人の来客数でしたが、やがて10万人以下に落ち込みました。来客数は回復しませんでした。
 ハーブオイルのマッサージ、町内のお年寄りを運ぶためにマイクロバス、庭の一部を個人に貸し出すミニ・ガーデン、バーベキュー広場、いずれも新たな魅力として力不足でした。


 2004年、京都縦貫自動車道が宮津市まで延長されたのをきかっけに、車の流れが変わりました。その恩恵を受けた丹後各地の観光施設が軒並み来客数を伸ばしたなかにあって、リフレの年間入場者数は一気に16%のダウン。リフレかやの里どころか、リフレ蚊帳の外です。


 そして、2008年7月、ついに営業を停止。従業員15人を解雇。株式会社丹後リフレッシュは自己破産を宣言しました。破産時の累積赤字は4600万円まで膨れ上がっていました。

【再開後の運営者は社会福祉法人よさのうみ福祉会】
 再開後のリフレを運営するのは、社会福祉法人よさのうみ福祉会です。


 この社会福祉法人は、宮津市、京丹後市、与謝野町、伊根町の合計25箇所で、障害者向け福祉事業を展開しています。1980年に峰山で設立された社会福祉法人ですから、すでに30年余の歴史です。


 町が失敗した集客ビジネスを社会福祉法人がやりなおす。
 どうもおかしな組み合わせに思えてなりません。


 その疑問に対する答はないものかと、過去の新聞記事を探ってみました。当たらずとも遠からじで見つかったのが、2009年7月19日付の毎日新聞朝刊です。よさのうみ福祉会が町議会に提出した再開案。それについて、次のように書いてあります。
同福祉会の計画では、障害者15人を雇用するレストランを核に、宿泊棟もホテルとして活用。さらに廃止する浴場の跡には、漬物やジュースなど同福祉会が実績を持つ農産物加工場を造り、製品生産と同時に体験コーナーも設ける構想。


 なるほどと思ったのが、「障害者15人を雇用するレストラン」というところです。リフレを運営しつつ、同時に障害者向け福祉事業も進めるのなら、社会福祉法人本来の使命に矛盾するところはありません。
 それだけではなくて、リフレの随所に福祉事業の色合いを絡めていけば、それを大義名分として町がリフレにお金をつぎ込みやすくなります。さらには、就労支援の名目で障害者に働いてもらえば、人件費を安く抑えることが可能です。


 ただし、このときの町議会は、よさのうみ福祉会のリフレ再開案を蹴りました。再開後のリフレから浴場が消えてしまうことに反発する議員が多かったためだとされています。いやいや、風呂の存否なんて表向き、実は太田貴美町長再選を阻止したいがための否決だった。そう見るむきもあります

 その太田町長は2010年4月の町長選挙で再選を果たしました。そして2010年9月、よさのうみ福祉会を新たな運営者とするリフレ再会案が再び町議会に提出され、今度は可決されました。浴場をなくす計画で否決された2009年案とは異なり、議会を通った2010年案では浴場存続の方針が打ち出されました。


太田町長。フライトアテンダントやユースホステル館長などの経歴も有する女性。その経歴から考えれば、ホスピタリティー精神、人を笑顔にする知恵と感性の持ち主ではないだろうか。リフレとその周辺エリアを、ぜひ魅力ある場所に再構築していただきたい(って、このブログ読んでるわけないか)。


【ほのぼの屋とふるるファームを模範に】
 さてさて、再開後のリフレはどんな風になるのか。
 ちょっと見てきました。


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 運営者は変わっても、飲食店でいえば居抜き、パチンコ屋でいえば新装開店ですから、新たな営業内容に合わせて内装を変化させるだけです。すでにいつ営業を始めてもいいくらいの状態に達していると見受けました。50席のレストランには調度品がすでに整備され、奥のほうではスタッフミーティングらしき光景も見えました。


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 そして、地場農産品の加工食品に力を入れるためか、新しい農産物加工所が建築中でした。新築の発注者は与謝野町役場農林課です。よさのうみ福祉会のオリジナル食品もこれからはリフレの加工所で製造されるそうです。
 リフレにはオリジナル商品の直売所も設けられます。浴場の面積を縮小して新たなスペースを生み出し、そこに直売店をこしらえる予定だと聞きました。

 

 リフレの外灯にエコライトを設置してきましたと、このブログがレポートしています。




アリアソシエイツ 与謝野海町三河内(みごうち)の有限会社アリアソシエイツは、新生リフレに椅子やテーブルを納めたインテリアコーディネーターです。そこが発信するARIA NEWSは、再開後のリフレを次のように紹介しています。


当時人気だった温浴施設のミストサウナやハーブ湯なども復活し、「森のレストラン」では地産池消をテーマに採れたての地元野菜をふんだんに使ったランチビュッフェがとってもお薦めで、サクっとモチモチの米粉パンや全部食べたくなる沢山の種類の手づくりデザート、有機豆コーヒーなどお腹一杯食べたあともゆっくりと午後のひとときを楽しめるようにと一生懸命考えられ楽しく豊かに設えてあります
10月1日(土)オープンですのでぜひともお楽しみに!

ヴァニーユ で、リフレの庭を出たところにあるスイーツの店ヴァニーユ。ここのオーナーシェフの小西孝之さんからもリフレの話をいろいろ教えていただきました。
 小西さんがおっしゃるには、再開後のリフレは、ほのぼの屋と舞鶴ふるるファームを大いに参考にしているとのことです。


 ところで、ヴァニーユはこんな店です。


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 話を戻します。
 ほのぼの屋は、障害者が働くために生まれた本格フランス料理レストランです。おいしさ、安さ、そして海を見下ろすロケーションが大人気。シェフは志摩観光ホテルの副料理長まで務めた糸井和夫さん。予約もとりにくいほどです。

 詳しくは、私の過去の記事「ほのぼの屋 舞鶴市 フレンチレストラン 本格的な中味とリーズナブルな価格」、あるいはWAM NETのこのページを参照してみてください。あまから手帖の門上武司さんもほのぼの屋を訪れ、門上武司のおいしいブログで紹介しています。



 もうひとつの舞鶴ふるるファーム。こちらはまだ自分で行ったことがありません。舞鶴市所有の農業公園を農業法人ふるるが運営する。そういう仕組みだそうです。
 地産地消を旨とするレストラン、石窯を体験する料理教室、個人が農業を楽しむための土地区画貸し出し、農作業を楽しむ客のための滞在施設。いわば、農をさまざまな切り口で楽しむための場所になっています。


 リフレさん、よさのうみ福祉会さん、成功例からの学びついでに、庭をイングリッシュガーデンにしてしまおうかくらいの思い切り、いかがなもんでしょうか。ほのぼの屋みたいなもの、ふるるファームみたいなものを作っても本家にはかないません。「ならではの魅力は何か」を見つける視点が大切だと思います。


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リフレの敷地内には小さな渓流もながれている

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