2011-08-17

宮津 灯篭流し・花火大会 8月16日

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 まことに風情と情緒のある花火大会です。
 長岡、新潟、大曲、宮津。
 転勤のおかげでいい花火大会を経験させてもらっています。

 宮津灯篭流し・花火大会は夏の最大イベントではありますが、イベント色に流されない重みを感じます。先祖への供養というコンセプトがよく共有されているのでしょう、わくわくのなかにしっとりを忘れない上品さが漂います。丹後のなかでも高齢化がとくに進んだ(65歳以上の比率が30%近く)宮津市だけに、伝統としきたりがよく守られているのかもしれません。
 宮津湾に流される灯篭は1万個。紅白ひと組で1000円という値段ですから、なんと500万円が沖へ沖へと流されていきます。


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 今年が初盆の家は、灯篭をそのまま海に流すのではなくて、灯篭を積んだ精霊船を浮かべます。竹で簡素に組んだ筏の上に刺身の舟盛りに使うような船を載せ、その船を色とりどりに装飾します。これが精霊船です。精霊船は海上でやがて燃え尽きますが、勢いよく燃えれば燃えるほど新仏さんへの供養になるといわれています。ただし、精霊船は決して安くありません。
 さらに余裕のある家は、新仏を供養するために花火を打ち上げます。それも単発ではなくて、何発かを組み合わせた本格的な演目です。
 立派な花火や。立派な戒名もらわはったんやろなあ。
 そんなことが頭に浮かびます。
 セレブ家系に新仏が出た年には、派手な花火が観客を楽しませるにちがいありません。小さな城下町に寺がいっぱいの組み合わせ。宮津には、家柄イコール仏事の費用という一面があるかもしれません。自分の郷里に共通するものがあるのではないか。そんなことも考えてしまいます。


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 個人の追悼花火がひと通り終わりますと、自治会連合の特別花火が打ち上げられます。これがまた長時間にわたる豪華な花火です。企業や商店だけに依存せず、自分たちがお金を出し合ってきれいな花火を上げようという心意気。地元のための花火大会という趣旨がよく受け入れられているひとつの証ではないかと思いました。
 夜空を見上げたままで首の疲れる時間帯はさらに続きます。スポンサーつきの花火はいずれも景気がよく、観覧席から声が上がります。


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 打ち上げ場所が海ですので、横に飛んで低い位置で開花する花火も混じります。海に広がる夜空を縦横無尽に花火が飛び交います。
 この花火大会3000発というけど、かなり充実感があるなあ。ロケーションがええなあ。


DSC08994 宮津湾は真円のような形をしています。そのおかげで、海岸線のどこからも花火がよく見えます。自ずと見物客の密度がばらけます。庭園的な構造をもつ島崎公園から花火見物できるのもこの大会のいいところです。






 この夜は京都府北部に大雨警報が発令されてしまいました。雨足が次第に本格化してきます。
 終了を待たずに会場を後にしました。和貴宮神社とカトリックに挟まれた路地まで歩いてきたとき、屋根や電柱で切り取られた狭い空にこの大輪。海で見るのとはまた違った趣があります。実に宮津らしい光景でした。


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