2011-09-22

番外編:琵琶湖博物館 淡水魚水族館

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 聖太郎を、琵琶湖博物館に連れて行きました。

DSC01033 ここには淡水魚ばかりを集めた水族館があります。おじいちゃんにも楽しくて、孫にも楽しい。
 聖太郎が小さすぎて背の届かない水槽もあるのですが、たいがいの水槽は聖太郎の背丈でもOKです。




【光の演出でディスプレイ】
 淡水魚ですから、魚が地味なのはしかたないところです。そのかわりに、ディスプレイが美しい。光の演出。明暗差の生み出し方。速く泳ぐ魚。ゆっくり泳ぐ魚。そうした組み合わせで飽きることがありません。
 光が織り成すムードがいいのか、デートスポットに選ぶカップルも少なくありません。
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DSC01059 たとえば、トンネル水槽というのがあります。写真のようにトンネル型の入り口へと歩を進めますと、天井も壁面も魚たちの泳ぎ回る水槽になっています。
 聖太郎のパパが、言葉をなくしながら、天井を越えていく魚の群れを眺めています。聖太郎も、真似しています。
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【箱庭みたいな水槽】
 このようなディスプレーもなかなか楽しい。魚の生息環境を箱庭的に表現してあります。
 子供の頃、いともたやすく捕まる魚もいれば、捕まりそうでなかなか捕まらない魚もいました。どうしてそうだったのか、生息環境まで含めたディスプレイに理由を教わる気がします。
 そういった点では、いまどきの子供たちの場合、川でずぶ濡れになって魚を素手で捕まえる機会も少ないでしょうし、この水族館のよさが宝の持ち腐れかもしれません。
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【外国魚の迫力】
 琵琶湖に分布する魚種が主体ですが、大陸系の大型魚、熱帯の魚もいます。外国魚は押し出しが強くて、琵琶湖の魚たちとは異なる魅力です。


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  そして、チョウザメ。この巨大魚の卵があの細かいキャビアかと驚きます。
 チョウザメはプール型水槽で飼育されています。イルカショーのかわりということでもないのでしょうが、時間帯が合えばチョウザメが餌をもらうところに遭遇します。


琵琶湖博物館のチョウザメ


【琵琶湖固有のサーモン】
 いつ行っても長く足を留めてしまうのが、ビワマスの水槽です。



瀬田降て志賀の夕日や江鮭(あめのうお) 
 与謝蕪村の句です。ここにある江鮭(あめのうお)がビワマスのことです。あめのうおが季語でして、季節は秋。秋の長雨で川の水量が増えるとあめのうおが遡ってくる。
 その時代にどれくらいのあめのうおが遡ってきたかといいますと、
捨てるほどとれて又なし江鮭 (高井 几董)
という俳句もあるほどです。


 江鮭と漢字で書くくらいですから、あめのうお(ビワマス)はサケの一種です。サケですが、海を必要としません。琵琶湖が海代わりです。逆に、海水では死んでしまいます。
 つまり、あめのうお(ビワマス)は、琵琶湖に合わせて進化してきたサケ、琵琶湖にしかいないサケです。いいかえますと、江州(滋賀県)のサーモンです。それを昔の人も知っていた。だから、江鮭という漢字をあてた。私はそのように解釈しています。


 私たちが生きるいまの時代、琵琶湖の固有種であるあめのうお(ビワマス)がサケらしく暮らせる生息環境がほとんどなくなってしまいました。人工孵化と稚魚放流の繰り返しであめのうお漁が成り立ってはいますが、天然のままで「捨てるほどとれて又なし江鮭」なんて光景は二度と望めません。



【マンネリ傾向がちと残念な博物館】

DSC01168 水族館を見終わって、聖太郎のパパとママは2階を見学しに行きました。
 すでに退屈気味だった聖太郎はおいてきぼり。おじいちゃん、おばあちゃんと1階で待っていることになりました。




 2階が、博物館の本体です。地質学的、考古学的な資料展示に留まりません。琵琶湖とともに人の暮らしがどう変わってきたか、逆に人の暮らしが琵琶湖をどう変えてきたか。そこにも重点が置かれています。
 京大の研究者たちの在野精神と滋賀県人のサービス精神。見学というよりも見物気分で楽しめる工夫があれこれ凝らされています。客が関西人主体ということを考えれば、こうでないとだめです。


 ただ、残念なことに、常設展示内容が、1996年の開館以来15年間、ずっと変わっていません。


DSC01204 総来場者数は700万人を突破したとはいうものの、そのうち300万人くらいを最初の3年間で稼ぎ、残る12年間でやっと400万人というのが実情です。リピーターの数が少ないからだと分析されています。
 実際、私も3回目ですから、べつに2階を見なくてもかまわなかったくらいです。
 琵琶湖博物館は琵琶湖と滋賀県に特化した展示内容ですから、どうしてもネタ切れを生じがちです。


 大好きな博物館だけに、心配と残念が入り混じった気持ちでおります。



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