2011-10-01

四つ葉ベーカリー(網野町) 焼きたてなら午後3時





DSC02116
DSC02128DSC02107








 四つ葉ベーカリー。場所は網野町。
 「施設にて製造された天然酵母使用のパンを中心に、授産製品を販売し、障害者の就労・自立・社会参加の拠点とすることを目的とする」というベーカリー。
 平たく言えば、仕事を学びたい障害者仲間がパンを製造し、出来上がったパンを流通させています。



DSC08717 宮津市日置のフランス料理店「ビオラビット」でおいしいパンを食べました。右の写真です。
 「このパンも自家製ですか?」と尋ねたら、「四つ葉ベーカリーです」との答。
 ああ、網野の、Aコープの前にある、あのパン屋さんですか。

DSC02117 古い建物が並ぶ網野の町中では、四つ葉ベーカリーの新しさがよく目立ちます。ただ、なにか引っ込み思案な印象の店構えでもあり、寄ってみたい気持ちがあまり起きませんでした。「ビオラビット」のおいしいパンが四つ葉ベーカリーへの吸引力として作用しました。
 四つ葉ベーカリーを印象づけるのが、この松の木です。松の木の横には2台分の駐車場もあります。


DSC02136




 初めて入った店で、まず目に飛び込んできたのが、この食パンでした。あ、食パンマンさんだ(聖太郎の影響がまだ続いています)。


DSC02106
DSC02112 あれ、1個だけ?少なくありませんか?
 それもそのはずで、こちらの焼きたては午後3時。私が行ったのは午前11時。いちばん品数の乏しい時間帯です。

 「でも、まだ他にもありますから」と、奥からグラハム食パンが出てきました。
 グラハムは色黒の食パンマンさん。全粒小麦粉と強力粉を混ぜた生地です。

 私の接客をしてくれたのは、伊藤直美さん。介護福祉士の資格をもち、障害者仲間の生活や職業訓練を様々に支援されています。

 いずれの食パンも1ブロック2斤です。それでは多すぎますので、1斤ずつに切ってもらいました。普通の食パンが300円、グラハムのほうが340円です。

DSC02110 振り返れば、そこにまだまだ他のパンがありました。この棚からレーズンパンを選び、食パンの横のバスケットからフランスパンも買いました。
 レーズンパンが320円、フランスパンが200円でした。
 4個合計1160円也。

DSC02123

店内風景。カフェにもなっています。パンの他に、陶器や手芸も置いてあります。コーヒーカップは、片方の腕のない人がろくろを回して作ったそうです。

DSC02108DSC02113DSC02131DSC02133



 今回のパンは、ふたつの家庭に差し上げました。両方の家庭ともパンに詳しい奥さんですので、どんな反応が返ってくるか楽しみでした。

 普通の食パンを食べたほうの奥さんは、サクサクしてフワっと軽くておいしいと言いました。焼いてバターを塗ったそうです。

 グラハム食パンを食べたほうの奥さんは、モチモチしておいしいと言いました。ガーリックバターを塗ってカリカリにトーストしたらワインによく合ったそうです。

 両方の奥さんともに、天然酵母を使いながらふわっとやわらかい点、そして、酵母臭をほとんど感じさせない点、この2点に興味を示しました。だんなさんまでが顔を出してきて、天然酵母はなかなか難しい、二次発酵の時間などいろいろコツがあるからと話していました。

 いったいどんな酵母を使っているのか知りたいという話になりまして、私が伊藤直美さんに電話して聞きました。
 伊藤さんは、「ホシノ天然酵母さんにお世話になっています」と教えてくれました。

 ホシノ天然酵母ならば、一般消費者向けの販売もやっています。ホームページはこちらです。
 ただし、サクサク感やモチモチ感といった食感や風合いには四つ葉独自の配合加減もあり、そこまで教えてもらうわけにはいきません。


 レーズンパンも大好評でした。家族みんながおいしいと言ったそうです。普通の食パンはフンワリ、レーズンパンはシットリ。その風合いの使い分けもよかったとのことでした。

 反面、フランスパンについては、おいしいんだけど1本200円にしては無難すぎる、四つ葉ベーカリーならではの味を目指すべきではないかと、少し厳しめの評価でした。


 値段に関して、片方の奥さんからシビアな意見が出ていました。食パン1斤300円は世間相場より高いというのです。お金に余裕のある家庭ですが、主婦の金銭感覚は甘くない。

 伊藤直美さんに値段の話をしてみましたところ、現状でも材料費を賄うだけで精一杯だそうです。山崎パンのような大企業ですら小麦価格高騰を理由に小売価格値上げに踏み切る社会環境ですから、四つ葉ベーカリーの台所事情も想像に難くありません。

 四つ葉のパンが高いと言った奥さんは、授産製品(障害者の職業訓練を通じて生み出される商品)は何に限らず世間相場よりも高いといいます。たとえば、バザー会場に並ぶクッキーだとかも。いいものだから高いのか、授産製品だから高いのか、いったいどちらなの?と素朴な疑問を打ち出してきました。

 価格とか、流通とか、品質とか、授産製品にとっては難しい問題です。
 売れすぎたら職業訓練どころじゃなくなる。売れなければ職業訓練事業が続かない。

 このあたり、何をどのように考えればいいのかわからなくて、福知山市立図書館で2冊の本を借りてきました。障害者の職業訓練事業はあまりにも縁遠い存在です。本にでも頼らなければ、何かを考えるための糸口すらありません。


sg0001
sg0000


 店を出たとき、ドアーの貼り紙が目に入りました。障害者によるパンのコンテスト、チャレンジド・カップです。


DSC02129

 四つ葉ベーカリーは第一次審査通過。とはいっても、第一次は書類審査でして、パンそのものの勝負ではないそうです。10月15日に行われる二次審査からが本当の勝負。二次審査を通過できたら11月にはいよいよ決勝大会です。

 審査員の経歴をインターネットで検索していきますと、ルヴァンの甲田幹夫さんをはじめ、全身全霊でパンを焼いている職人たち。ハードルが高そうです。


 過去の受賞を見ていますと、京都府から参加したなかでは飛鳥井ワークグループのオニオンブレッドが第1回大会で優勝。それ以降の大会でも、飛鳥井グループのパンがなんらかの賞を受けています。この飛鳥井ワークグループは、左京区のスーパーの2階に製パン工場をもって、1階のスーパー店内にHOLYLANDという自前の直売店を開いています。

 パンの消費量日本一は京都府だそうです。その京都府から参加するのですから、四つ葉ベーカリーも頑張れ。
 丹後からの挑戦を応援します。

0 件のコメント:

コメントを投稿