2013-04-18

番外編:彦根市長選挙---井伊直弼の代わりに戦うとか、おかしいやろ

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 いま世間でちょっと話題になってますのが、彦根市長選挙です。

 彦根市といえば、関が原の戦で東軍が勝利して以来、井伊家によって統治されてきた城下町です。幕末の大老井伊直弼、そして井伊直弼が暗殺された桜田門外の変は、歴史の授業で習った通りです。

 桜田門外の変で井伊直弼の首級(しるし)を獲ったのは薩摩藩を脱藩した有村次左衛門でした。その有村次左衛門の末裔に当たる有村国知氏(38歳)が、今回の彦根市長選に立候補しています。

 現職の獅山向洋氏側は、「井伊直弼公の首をとったことを誇る家系が市長選に出た。この点だけは理解できず、厳しく批判している」と容赦できない様子です。直弼公に代わり戦うと、獅山市長は明言しています。


 まず不思議でしたのは、有村家の末裔がいったいどうした経緯で近江に住んでいたのか?です。
 この疑問に答えてくれたのは、2008年8月3日の滋賀報知新聞でした。ネットで記事を読むことができます。URLは以下の通りです。(http://www.shigahochi.co.jp/old/bno/2008/08-08/n080803.html

 この記事によりますと、井伊直弼の首級をとった有村次佐衛門は男ばかり4人兄弟でした。
 4人のうち三男の次佐衛門と次男の雄助は、桜田門外の変後に自刃しました。長男の俊斎は家督を継がずに海江田家の養子になりました。こうした事情から、有村の家系を継いだのは四男の國彦でした。

 その國彦からの家系が國太郎、國秀と続きました。國秀さんは、学習院大学時代に滋賀県愛荘町の酒蔵「藤居本家」の藤居章子さんと知り合い、そして結婚しました。

 なるほど、そうでしたか。それゆえに、薩摩の有村家末裔が近江で暮らしたいたのですか。

 國秀さんに関して報知新聞は、「また、学習院大学時代には今上天皇や彦根市長を九期務めた直弼の子孫、直愛氏とも親交が深かった。子孫同士に百五十年前の憎しみは消え、今は和やかに交流が続けられている」とも書いています。

 ただ、有村国知候補とこの有村家の間柄は判然としません。けれども、名前に「国」の字をもつこと、また五代目が有村國俊さん(43歳)という方であることから、国知さんは國俊さんの弟にあたるのだろうと推測しています。

 獅山現市長は、「市民が開国の大老として、いかに直弼公を尊敬しているか。直弼公に代わって、しっかりと選挙戦を戦いたい」と言っています。
 私は彦根市民ではありませんから、獅山氏が述べる通りの市民感情であるのかどうか分かりません。井伊直弼への感情移入だけで市長候補を取捨選択していいはずがないと思うばかりです。なのに、市民を正しく導く立場にある現市長が、感情的な取捨選択を促すための扇情的発言ではねえ。

 それに、そもそも獅山氏は、1989年の市長選で、当時の市長だった井伊直愛氏(井伊直弼の子孫)を蹴落として市長の座を手に入れた人です。自分のことは棚に上げてというところです。

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 彦根市長選の横には越直美大津市長のニュースがありました。越直美市長と中原徹大阪府教育長が対談したというのです。二人は、教育長は首長の指示命令に従うべきだという点で同調したと新聞が言っています。

 また無神経なことをやらかしとる、と思いました。

 政府の教育再生実行会議は、教育長への権限一元化を提言しました。越直美市長は「首長のもとに一元化すべきだ」と不満を示し、富田真教育長は「これまで以上に教育長がより強いリーダーシップを発揮できる」と歓迎しています。両者の間にもうすでに確執が生まれそうです。

 そんな状況下、大阪府教育長との対談経由で自説を主張してみせるなんて、大津市教育長に喧嘩を売っているような行動です。確執は生まれるべくして生まれてしまいます。そんな対談、慎重を期して非公開でよかったじゃないですか。障壁を現実的に地道に解決することよりも自己顕示欲の満足を優先といった越直美気質が見え隠れするではありませんか。

 民意によって選ばれた市長に権限を一元化させたほうが教育に民意を反映させやすいというのが越直美市長の見解です。ちょっと待って、プレイバック、プレイバックです。その市長の見解が民意に沿ったものなのかどうか。それを問うために対談すべきは大津市の教育長だと思います。考え方が大きく食い違う両者だけに、どちらの言い分がよさげか、新聞報道を通じて世間に知らせればいいと思います。

 よその自治体の教育長が自分と同じ意見だからといって何になるでしょう。二度といじめ自殺を生み出さないとあれだけ強い決意を示しただけのことはある、今度は市長と教育長がよく話し合っているなあ。そういう改善具合を伝えられてこそ市政への評価が高まるのではないでしょうか。

 弁護士出身でクレバーな越直美市長のことですから、大阪府教育長との対談を非難されないための理論武装は済ませてあることでしょう。国の打ち出してきた方針に対する行動としてなるべく有効な方策を選んだくらいの口実は考えてあると見ています。

 なんかデンジャラスな市長二人の話題でした。 

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