2013-11-11

食材偽装問題で思うこと① ほんまは詐欺やろ

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 日本全国の、ホテルというホテル、百貨店という百貨店が、食材を偽装してボロ儲けしてきたのではないか。そう思いたくなるほどの勢いで、業界に連鎖が拡大しています。テレビニュースを見るたびに、毎日どこかの社長さんが頭を下げています。


 羊頭狗肉(羊頭を懸けて狗肉を売る)で不当な利益を得るのは、普通に考えたら、詐欺です。

 ただし、詐欺罪ということになりますと、また話は違ってきます。詐欺罪を適用するのなら、それを犯罪として立証しなくてはなりません。そこがきわめて困難だというんですね。
 
 「私は騙された」と訴え出る個人が現れても、企業側は組織ですから、どの部署の誰のやったことが詐欺に当たるのか、なかなかはっきり特定することができません。誰もが会社の一員として仕事しただけだったのに、結果として客を騙すことになってしまった。たいていはそういう結論に行き着く。そして、企業側のシロで終わります。

 そんなアブハチとらずに終始するくらいなら、当てはめやすい法律で対応するほうがいいわけで、それが景品表示法だといいます。
 ただし、今回の食材偽装すべてが景品表示法違反だというのではないそうです。冷凍マグロを鮮魚と表示したのは△で、普通のネギを九条ネギと表示したのは×だといったように、個々のケースの違反度合いをそれぞれ吟味していく必要があると、専門家は言っています。

 もう少し詳しく見ていきます。

 食品の不当表示に関係する法律は、悪質な偽装を取り締まる不正競争防止法、生鮮食品・加工品の品質表示を細かく定めたJAS法、そして、うそ・大袈裟を禁じた景品表示法などがあります。他にも食品衛生法、健康増進法、計量法などがあって、そう易々と不正表示できない仕組みになっています。

 しかし、外食の場合は、こうした食品表示関連法規の枠外に置かれているといいます。メニューの書き方は、いわば業者の良心任せになっているそうです。
 ただし、正直さ・誠実さをあまりにも欠いたメニュー表記は、うそ・大袈裟を禁じた景品表示法違反に問われます。食品専用の法律ではコントロールできないだけに、商品やサービス全般を対象とする景品表示法で取り締まろうというのです。

 でも、どうしてそうなるんでしょう。国は食品表示に関係する法律を山ほど用意しているというのに、そして、今回の偽証問題はまさしく食品に関連したものなのに、どうして景品表示法でしか責任を問えないのか。

 どうにも不可解だと思っていたところ、FOOCOM.NETが、以下のように解説していました。URL=http://www.foocom.net/secretariat/foodlabeling/10257/



 なぜ、外食のメニュー表示にこれまで食品表示のルールが適用されてこなかったのか。第一に、「外食はサービス業」として食品表示の規制は適当でないとされてきたからだ。外食事業者は食品だけでなく場所、雰囲気、サービスなどもあわせて提供しており、そこが食品事業者とは異なる。

 第二は、「お店に聞けばわかるから」だ。食品の場合は、生産者や製造者の手を離れて店頭に並ぶため、消費者への情報伝達手段として食品表示が必要だが、外食ではお店に直接聞けばよいということになる。極端なことを言えば、メニュー表示はなくてもいいのだ。こだわりのお店の中にはメニューが無いところがあるそうだが、法律的には何の問題もない。

 つまり、外食は情報伝達手段としての表示は必要無く、食品のような表示の規制はいらないという整理である。それでは事業者が守るべきことは何か。表示をするのなら間違ったことは書かないこと、消費者を誤認させないことだ。そこで景表法が適用される。


 なるほど、外食が提供するのは、食品ではなくて、「満足」なんだということですね。
 料理名も、お客様を満足させるための一手法だ。売っているのはサービスで、食品そのものを売っているわけではないのだから、食品表示の厳格な規制を受けることはないと、こういうことです。

 今回の場合、オーストラリア産牛肉を和牛と偽るようなメニュー表記については、景品表示法が禁じる「優良誤認表示」の色合いがぐっと濃厚になってきます。
 「優良誤認表示」について、景品表示法は、実際のものよりも著しく優良であると示すことだと言っています。たとえ「誤表記」であったとしても、「あれは私どものミスでした」という言い訳は通りません。
 
 どういう偽装が「優良誤認表示」に相当するのかについては、東京新聞のサイトに以下のような一覧表がありました。東京新聞TOKYO WEBを参照していただければ、詳しい説明もあります。

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 今回、不思議なことに、値段の話が出ていません。食材偽装したメニューにいくらの値段をつけていたのか、そこが語られていません。マスコミも、そこに突っ込んでいきません。

 牛脂注入加工肉を霜降り牛と偽装表示しても、980円の値段だったら、みんなそう腹は立たないと思うんですよ。羊頭狗肉の商法である点では同じですけど、羊頭を掲げた苦肉の商いといったニュアンスが伴います。
 「そうだな、食材に見合った値段だな」ということで、ぼろ儲け目的ではなかったという釈明を、少しは素直に受け止められるじゃないですか。

 でも、実際には、偽装メニューの値段は公表されていません。明らかにすればより立場をわるくするからでしょう。本物を使った値段をつけておいて偽物で利ザヤを稼いでいたのだと思います。

 食材を偽装したことは、文字通りの羊頭狗肉です。しかも、企業活動のあり方として見れば、信用という羊頭を掲げつつ、虚偽という狗肉で収益を上げていたことになります。

 こういうのは、誰も刑務所に入らないというだけで、ほんまは詐欺でしょ。

 いや、感情で言うことではありません。
 詐欺罪の場合は、やった奴を特定しないといけないから、企業相手の立証は難しい。けれども、そのかわり、企業という集団相手には景品表示法がある。集団で利潤を追い求めた結果として生まれてくる詐欺行為を、景品表示法が取り締まるのだと、私はこう解釈したいんです。

 その解釈が正しいのなら、食材偽装を続けてきたホテルや百貨店は、法律の視点からも詐欺同然です。

 と、キツイことを言ってますが、私は、実はそんなに腹が立っていません。というのも、高級ホテルのレストランを利用したり、デパ地下の高級お惣菜を買ったりするだけの収入がないからです。二度と行くもんかと啖呵を切りたいけれど、残念ながら一度目がまだない。騙されたくても騙されようがない。

 かといって、食い逃げはあきませんよ。自分が詐欺で捕まりますよ。

 まあ、ねえ、騙されるだけの収入がないなんて、いったいラッキーなのか辛いのか、よく分かりませんけど、騙された人の多くがお金持ちや社用族だったから、まだこんなもんで済んでいるんでしょうね。

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