2014-11-16

カンタ・ティモールの上映会をやろう! 高校の友達が集まって

茂呂の退任パーティー-1-8

 高校で同じクラスだった仲間が集まりました。
 ここ数日続いていた寒さが緩み、庭で過ごすにはちょうどいい日和となってくれました。


 みんなで集まるのにとても重宝な家があります。
 夫婦揃って同じクラスだった男女。そして、人の集まりやすさをよく考慮した庭を持っています。なにひとつ遠慮することなく過ごせます。長いテーブルを新たに買ったという。それは、なにがなんでも集まろうということになりました。

 私は、クラスの垣根を越えろ、K西M子を呼ぼう、Y田K子を呼ぼうと、有意義な提唱を繰り返していました。二人とも別のクラスでしたが、いまだに美人だからです。

茂呂の退任パーティー-1-17

 大津市の老舗料亭「豆信」から弁当を配達してもらいました。お弁当になっても豆信で食べる味そのままでした。茶碗蒸しとデザートもついていました。

 豆信のことは過去のブログ記事にしていますので、よかったら読んでみてください。LAST TANGO IN 丹後 (なにわ物語): 豆信(滋賀県大津市) 三井寺近くの料亭、重要有形文化財に登録された古い家屋


茂呂の退任パーティー-1-3




 夜になってからは冷え込み、薪ストーブの部屋で飲み続けていました。原発の話題に一段落ついたとき、「さて、そこでや」と、ひとりが話し始めました。

ーーー実は、「カンタ!ティモール」ちゅう映画があってな

 彼は、その映画にいたく感動したのだといいます。





 監督は広田奈津子さん。映画制作経験ゼロだった頃の広田さんが、2003年の東ティモールをドキュメンタリーにした作品です。アレックスという放浪の歌手と行動を共にしながら、大地と共生する人たちの暮らしや倫理観をあるがままに記録した。そういう映画だそうです。

 東ティモールといえば、ご承知のように、独立の悲願を2002年に果たした国、インドネシア群島のなかにある小さな島国です。

 1974年の東ティモールでは、ポルトガルの植民地支配が終わろうとしていました。独立の気運が高まっていました。しかし、インドネシアは、ポルトガルから自由になった後の東ティモールを自国に組み入れるべく虎視眈々と狙っていました。東ティモールのはずれにある大きな海底油田が何よりもの魅力でした。




 東ティモールの領有権を主張するインドネシアは、1975年から24年間にわたって、東ティモールの独立運動を武力で弾圧し続けました。軍事力は圧倒的にインドネシアが優位でした。それだけに、1日あれば制圧可能との見通しでインドシアは侵攻を開始しました。

 圧倒的優位の軍事力は、日本がもたらす多額のODAの上に成り立っていました。日本からのODAを軍事資金にしてアメリカから武器を買うというカラクリが、軍事行動の背景にありました。
 インドネシア軍は、その武器で東ティモールの人々を殺しまくりました。その数20万人。人口60万人の東ティモールでは、3人に1人が命を落とした計算です。

 このような裏事情は、日本ではまったく報道されませんでした。NHKをはじめ、裏事情への取材は行われていたのですが、世間に公表されませんでした。日本が殺戮に加担している図式をあからさまにするのですから、政府からの圧力なり、自らの保身的選択なりで、ボツになったのでしょう。

 20万人を殺しまくっても、24年間の月日を費やしても、結局インドネシアは勝てませんでした。1999年から3年間の国連統治を経て、東ティモールは独立を勝ち取りました。

ーーーなかには東ティモール軍に捕まるインドネシア兵もおるやろ。俺がいちばん感動したのは、捕まえた兵隊を捕虜にはせえへんねん。そのまま返すねん。なんかな、ようわからんけどな、私という人間とあなたという人間に境界はない、同じでひとつのもんやという精神があるのやて。

 映画を実際に見た彼がうまく説明できないことですから、また聞きの私たちが合点できるはずもありません。しかし、そこは高校の同級生。彼がどういう事柄に感動するのかは分かっています。

 インドネシアの弾圧に怯えながらも決して屈服せず、東ティモールの人たちが命を賭けてでも守り抜こうとしたもの。それはカネ一辺倒ではない価値観ではなかったかと、彼は言います。
 カネ一辺倒ではない価値観を言葉にするのは難しい。でも、言葉にならないものを映画が見せてくれた気がする。思想・信条ではなくて、それがそのまま人の道だとでもいうような・・・
 彼はそのようにも言っていました。

 「カンタ!ティモール」の話になる前に、私たちは原発について同じような話をしていました。
 拝金主義的利権体質からみれば原発ほど正しいエネルギー政策はない。けれども、原発自体が人のあるべき姿に大いに反する。カネ一辺倒の価値観で考えてはいけない。

 では、カネ一辺倒ではない価値観とはどういうものか?うまく言葉にできない。カネのありがたさは説明しやすい。カネのおそろしさは説明しにくい。

 残念ながら、「カンタ!ティモール」をそのあたりの映画館で見ることはできません。各地で草の根的な上映会が開催されているだけです。1回あたりの入場者数は多くても20人程度といいますから、本当に小規模な上映会が有志の手によって繰り返されています。

 その映画のDVDを借りるのは1回1万円くらいだから、我々で上映会をやってみないか。

 というのが、彼からの提案でした。

 薪ストーブが部屋を暖めています。1時間ほど前にくべられた薪の穏やかな炎だけで充分に暖かい。そこに新たな薪を投入したら、ボッと炎が大きく燃え上がります。熱くなります。

 彼の提案は、まさに新しい薪でした。私を前のめりにさせます。会場のこと、料金のこと、案内のこと、私はそちらにどんどん頭が回っていきます。
 こういうときこそ冷静な誰かの慎重な判断が大切です。

ーーーそれやったら、いっぺん自分たちで見てみる必要があると思うよ。それで決めよ。またうちに集まってもええよ。

 誰も異存はありません。高校生のときなら、「水さすな、アホ」と怒鳴っていたであろう私も、円満解決重視の人柄に変わっています。まずは自分たちの試写会を開くことになりました。文化祭前のディスカッションみたい、3年9組の教室みたいでした。

 先ほどからインターネットで”Canta! Timor カンタ・ティモール”をキーワードに検索。いろいろなサイトを見て、ぜひとも上映会を実現させたい気持ちになっています。


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