2014-11-08

湖南三山 善水寺(滋賀県湖南市) 迷い犬か、捨て犬か ダックスフントにご加護あれ

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 お寺まであと400mという交差点。迷っていたのは、痩せ細ったダックスフントでした。
 そのダックスフントを見捨てられずに困惑しておられたのが、お寺の奥さん。たまたま用事で外出。寺を出てすぐに、このダックスフントと遭遇したのでした。
 奥さんはお寺にケージを取りに帰るとおっしゃいます。ともかくお寺でいったん保護しますとのこと。奥さんが戻ってこられるまで、私たち夫婦が犬と一緒にいることにしました。


 捨てられたのか、迷ったのか。全身のあちこちに皮膚炎が見られます。患部を自分でなめるからでしょう、毛が抜けていました。皮膚の角質がフケのように剥げ落ちています。眼球は少し濁り気味で白内障です。老犬なのでしょうか。

 病気になった飼い犬に手を焼いた飼い主が捨てたのではないか。ご住職はそうおっしゃっています。滋賀県の保護センターがすぐ近くにあるそうですが、このまま連れて行くのはしのびないとのこと。

 なめられても手は臭くなりませんし、抱き上げてもまったく悪臭はありません。化膿性の皮膚炎ではなさそうです。とても人なつっこい性格で、すぐ腹を上にして寝転びます。こうなってもおまえはまだ人を信じるのかと、けなげさと同時にもどかしさを感じました。


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 さて、善水寺は、きわめて歴史の深い天台宗のお寺です。過去にも一度記事にしています(LAST TANGO IN 丹後 (なにわ物語): 善水寺(滋賀県湖南市) 天台密教仏殿のあるべき姿を伝える国宝)。そちらのほうがより詳細ですので、この記事で興味をもっていただけたら読んでみてください。

 本尊である本薬師如来像の中から出てきた籾米と由緒書きから、993年に作られたことが判明しました。籾米を仏像内に入れるのは、仏舎利(お釈迦様の遺骨)を模してのことだそうです。
 このご本尊をはじめ、平安~鎌倉の仏像が並びます。三十数体のほとんどが国宝や重文指定を受け、それらを安置する本堂自体も、南北朝時代の建造物として国宝に指定されています。

 善水寺は天台宗のお寺です。いまここに残る本堂内部の仏像配置は、延暦寺根本中堂のオリジナルな姿に近いとみなされています。本山である延暦寺は信長の焼き討ちに遭っていますから、そのときに焼けてしまいました。

 善水寺では、ご住職が必ずお寺の解説をしてくださいます。寺の存在価値をしっかり伝える目的がいちばんでしょうが、国宝級の古仏のすぐ近くまで参拝客を入れる上での安全策でもあると思います。

 まあ、見とれる本堂です。屋根の曲線。そして、壮大です。いつ見ても惚れ惚れします。

 千年を超える歴史がどっしり居座る善水寺に保護されたダックスフント。仏のご加護あれと祈っています。


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